吉田啓
3歳の長男を虐待死させたとして傷害致死などの罪に問われた、いずれも無職で義父の末益涼雅(りょうが)被告(24)=福岡県中間市=と、実母の歩被告(23)=同県八女市=の裁判員裁判が25日、福岡地裁小倉支部で結審した。検察側は両被告に懲役13年を求刑した。
検察側は、両被告は結婚してから間もない昨年6月ごろから、長男の愛翔(まなと)ちゃん(当時3)が言うことをきかないときは暴力を加えるという共通認識があった、と指摘。けがや死亡はどちらの暴力が原因かはっきりしないが、SNSでのやり取りなどで互いの暴力を容認、助長しており、共謀が成立すると主張した。
涼雅被告側は共謀の成立を認める一方、被告が反省の態度を示し、社会的な制裁も受けているなどとして懲役7年を求めた。
歩被告側は、事件当時、歩被告は涼雅被告から外出や他者との交流をSNSなどで監視、制限される精神的ドメスティックバイオレンス(DV)を受けていたと主張。愛翔ちゃんの恥骨が折れるなどした傷害事件で暴力を振るったのは涼雅被告で、暴力の容認はDVの影響で半ば強制されたもので共犯は成立しないと訴えた。また、愛翔ちゃんが致命傷を負った際には寝ていて関与しておらず、傷害致死罪について成立しないとして無罪を主張。愛翔ちゃんの口にペット用のトイレ砂を入れるなどした暴行罪についてのみ執行猶予付き判決が相当とした。(吉田啓)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル